学校パンを知っているかい?

   

学校パンをご存知だろうか?

私の出身地山梨県の、一部の地域で祝事に使用するものだ。
一部の地域とは、主に峡東地方で、甲府盆地東部及び笛吹市、山梨市、甲州市などが該当する。

私の実家は峡東ではなく、学校パンと出会ったのは成人してからで、過去に一度だけ口にしたことがある程度だった。

甲州市に住む私の祖母が、何故か昨年終盤からしきりに「学校パンを送ってやりたい」と言うようになり、先日ついに遠い北国に届いたのだった。

写真では分かり辛いが、30×35・高さ23センチのダンボールに入っている。上部のパンを取り出してみると、

下段にもぎっしりと学校パンが犇めいていた。

恐らく受注生産、つまりは特注品で、最低個数などがあるのだろう、我が家の分は30個ほどあった。

祖母の事なので、この機会にと自分の分、友人・知人の分私の実家の分と、50個位(もしくはそれ以上)発注したのではと予想している。

何れにせよ、まさか北海道で、故郷でもそこそこレアな学校パンを味わえるとは、何とも嬉しいサプライズであった。

早速頂いた。
実に久々の四十路布の登場だ。

全長約15センチ、幅が約10センチの手のひらサイズで、表面にはアイシングのような甘いパリパリが塗られている。

断面。厚さは2センチ強といったところだろうか。

気になる味だが、玉子と小麦粉と砂糖のシンプルな素朴で優しい味わいだ。
表面はサクっとまではいかないが、カラリとさらさらで、パンとは言うが、しっとり系ではない。
甘食からしっとりを除いたというか、丸芳露を思い出した。今となっては丸暴露の味もうろ覚えなのだが。

そこそこの大きさもあり、一見一度に食べ切るのは難しそうだと思いきや、ひとくち、また一口と食べ進み、ぺろりと平らげてしまうのだ。

義母は大層気に入ったようで、月寒パンのようだとしきりに言っていた。

祖母曰く、今でこそ表面に砂糖が塗ってあるが、昔はなかったそうだ。卒業式で配られるのを、それはそれは楽しみにしていたと話してくれた。

今回のパンは、町田製パン謹製だ。この店は私が子供の頃から営業しており、学校給食用のパンも扱っていると聞いている。幼いころは祖母に連れられて店を訪れ、3色パンを買って貰ったものだ。当時はいかにも昭和な街のパン屋さんという佇まいだったが、今は改装されている。HPもあり、下段には学校パンのことも掲載されている。私が初めて食べた時には、HPの画像のような紙袋に入っていたと懐かしく思い出した。

日持ちがするパンなので、届いてから毎朝ひとつずつ頂いている。
幼い頃から当時はまだ若かった祖母は、自分が本当のおばあちゃんになったら色々頼むよと冗談交じりに言っていた。いよいよ面倒を見てもらいたいお年頃で、私は遠くに嫁いでしまい心が痛むと同時に、遠く離れても尚気遣って貰える幸せをかみしめるのであった。

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